あなたの願い、残酷に叶えます。
☆☆☆
2020年、4月。
世界的に蔓延するウイルスによって、あたしたち日本も大きな打撃を受けていた。
「紗弓、さっき学校から緊急連絡網が回ってきたわよ」
朝起きて、いつも通り制服に着替え、顔を洗うため最初に洗面所へと向かった時だった。
4月上旬のまだ冷たい水を掌にためていっていた時、ドアが開いてお母さんがそう言った。
「え?」
あたしは顔を上げて首をかしげる。
手の中にたまった水はどんどん隙間からこぼれ落ちていく。
「今日から一週間、学校がお休みになるって。3年生なのにこんなことになるなんて、不安よねぇ」
「え?」
さっきとは違うニュアンスで、同じように聞き返す。
手の中の水は完全になくなってしまったが、また水道水をすくうことはせず、洗面台の隣に掛けられているタオルで手を拭いた。
「お休みって、ウイルスのせい?」
「そうみたい。一週間っていうのも目安なんですって」
「目安って?」
「感染者数がもっと増えていったら、また休みの期間を伸ばしていくんですって」
あぁ、なるほど。
あたしはお母さんの言葉に頷いた。
それなら最初から一ヶ月休みとかにして、ウイルスが弱まったときに授業をすればいいのに。
2020年、4月。
世界的に蔓延するウイルスによって、あたしたち日本も大きな打撃を受けていた。
「紗弓、さっき学校から緊急連絡網が回ってきたわよ」
朝起きて、いつも通り制服に着替え、顔を洗うため最初に洗面所へと向かった時だった。
4月上旬のまだ冷たい水を掌にためていっていた時、ドアが開いてお母さんがそう言った。
「え?」
あたしは顔を上げて首をかしげる。
手の中にたまった水はどんどん隙間からこぼれ落ちていく。
「今日から一週間、学校がお休みになるって。3年生なのにこんなことになるなんて、不安よねぇ」
「え?」
さっきとは違うニュアンスで、同じように聞き返す。
手の中の水は完全になくなってしまったが、また水道水をすくうことはせず、洗面台の隣に掛けられているタオルで手を拭いた。
「お休みって、ウイルスのせい?」
「そうみたい。一週間っていうのも目安なんですって」
「目安って?」
「感染者数がもっと増えていったら、また休みの期間を伸ばしていくんですって」
あぁ、なるほど。
あたしはお母さんの言葉に頷いた。
それなら最初から一ヶ月休みとかにして、ウイルスが弱まったときに授業をすればいいのに。