あなたの願い、残酷に叶えます。
女はまだ両手に力を込め始めたのだ。


それはまるで充男の反応をあたしたちへ見せて楽しんでいるような様子だった。


途端に吐き気がこみ上げてくる。


充男の顔は真っ赤に染まり、眼球が飛び出してきている。


「嫌……!」


景子が目を逸らす。


真美が泣き叫ぶ。


男2人は充男を助けるため外へ出ようと、必死で窓をたたき割ろうとしていた。


それぞれが懸命に動いている中、充男の体から力が抜け落ちていく瞬間を見た。


見開かれた目。


だらしなく流れるヨダレ。


舌は極限まで伸び切った状態で、静止した。


「あ……」


あたしは小さく呟いた。


それでも女の手は力を緩めなかった。


ギリギリと締めあげられる首は今や半分ほどの細さになっている。
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