あなたの願い、残酷に叶えます。
今度は最初から両手使い、思いっきりノブをひねる。


しかし、こちらも少しも動かない。


全身から血の気が引いていき、立っていられなくなってその場にしゃがみ込んでしまった。


「どうしたの紗弓」


タブレットから景子の声が聞こえてきて、あたしは左右に首を振って答えた。


「開かない……」


「え?」


景子は慌てて椅子から立ち上がり、ドアへ向かう。


他の2人も同じように確認しているが、外に出られた者は1人もいなかった。


「なんで!? イケニエは出したじゃん! それで終わりでしょう!?」


景子が誰もいない部屋の中へ向けて叫んでいる。


「イケニエを出すのにも条件があった。俺たちはその条件をクリアしていない」


椅子に戻ってきた翔が落ち着いた声で言う。


あたしはどうにか立ち上がり、倒れそうになりながらも椅子に座った。


「そもそも、あんなことしなければよかったんだ!」


翔があたしの目を捉えて叫んだ。


その言葉にグッと返事が詰まってしまう。
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