あなたの願い、残酷に叶えます。
その瞬間、見てしまった。


布で隠された顔。


真っ黒な長い髪。


白いワンピース。


それは充男と真美の部屋に出現した女で間違いなかった。


叫んで逃げようとした。


でもそんな暇も与えられなかった。


次の瞬間にはもう、俺の顔が女に掴まれていたのだ。


「ぐっ……!」


強い力に抗うことができない。


掴まれた顔面がミチミチと音を立てる。


「誰……か……」


目だけタブレットへ向けて助けを求める。


3人が俺に向けて声をかけている。


でも、その声は届かない。


女が更に手に力を込めて爪が皮膚に食い込み、血が流れ出した。


痛みは顔中に渡っている。


「助け……」


タブレットへ向けて手を伸ばしたその瞬間だった。


バリバリバリッ!


という音が聞こえた。
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