南の島のクリスマス(十年目のラブレター)
 夜の8時くらいまで、ジローズではしゃいでいた4人が店を出ると、名残を惜しむように冬の海の波が声をかけあっているように聞こえた。


  店を出て車に乗ろうとした托が
    鍵を探しながら准に
  この前のことを確かめる。


「准…」
「一ヶ月前の夜…薫ん家に電話したのってやっぱし…あれって准?」


「バレてたか…」
「ほら!やっぱしアタシが言った通りでしょ?でしょ?」


「夢なんかじゃなかったんだ…あれ。アタシを抱きかかえてくれたのって准だったんだ。」


「それどういうことよ、未来!」
「聞いてねえぞ、そんなこと。」
「ごめん…何か言い(にく)くって。」


「それに言ってもどうせ信じてもらえないと思ったし。」


「でもあの日、なんで准は島にいたんだよ。」
「ちょっとな…母ちゃんに頼まれてじいさん家まで行ってて。」


「そしたら急に昔、未来とつくったタイムカプセルのことが気になって…」


「タイムカプセル?そんなの作ったっけ?」
「ごめん、薫。准と二人だけの時、作ったの。」
「許せぬ!」
「アンタ、何時代?」


「ま、いっか…そんなこと。とにかく准が帰って来たんだから!」
「だよな。」

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