南の島のクリスマス(十年目のラブレター)
 五月蝿(うるさ)い仲良し4人組が二人になり…
また港には静かな島の夜がふたりを包む。



    店の前に広がる砂浜に続く
      階段に座ると
   ちょっとだけ冷たい海風が
      アタシと准の頬を撫でていく。


   それでも心は温かかった。


「そこ座る?」
准がさりげなくアタシの肩を抱くだけで火照(ほて)っていく顔。

「うん…」
そして階段に腰を下ろし、どちらからともなく繋いだ手が温かい。



   それでも10年ぶりに
     二人きりになって…
   何を、どう、どんな声のトーンで
     話せばいいか
     分からずに

   ただ打ち寄せる波の音以外には
    二人の息遣(いきづか)いだけの沈黙が続く。

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