南の島のクリスマス(十年目のラブレター)
「おばちゃーん!こんにちは!…」
「…」
「ん?いないのー!?」
「ラムネもらうからねーっ!」

 今にも壊れそうなかなり年代物の
  冷蔵庫のようなケースに手を伸ばすと
    奥から声が聞こえた。

「そん声は未来さー?」
「うん」
「お金、いつもん箱に入れちょいてさー」

と奥から声はしてもおばあさんは出て来ない。
   都会ではあり得ないことが
     この島ではフツウだった。


都会ではあり得ないこのような離島の村ならでは…そんな長閑(のどか)な風景がわたしは好きだった。


  百円玉を一つ箱に入れラムネを開けると
  一口、二口と続け様に喉に流し込んだ。
   自転車を思い切り漕いだからか
    (のど)がカラカラだった。

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