南の島のクリスマス(十年目のラブレター)
 先に酔いつぶれたのは茜ちゃんで彼女を寝かせてチーフと二人二階のベランダでワインを飲む。


「いいとこね、静かで人も暖かくて。食べ物は美味しいし、いいこと尽くめ。」
「そうでもないですよ。」
「そう?」
おもむろにタバコを取り出したチーフ。

「いい?」
「灰皿持って…」
「持ってる。」
「でも…東京に行ってからはこの島が恋しかったですね。ホームシック。」


「さっきの写真の人?10年探してる人って…」
「はい。」
「なんか冬ちゃんが好きになったの分かる気がする。ホント優しそうね。」


   ーー未来は僕のお嫁さんだ!
    未来を(いじ)める奴は僕が許さない!


幼稚園でよく(いじ)められていたアタシを守ってくれてた准。ずっと一緒にいた時は分からなかった。准がわたしにとってどんなに大切な人か…

無くして見ないとその大切さが分からない。でも無くしてからでは遅過ぎる。
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