南の島のクリスマス(十年目のラブレター)
 そのことはシーツについた血の(あと)でもわかる。アタシにはその経験がないのだから…。アタシはまだ処女なのだから…。それが明らかな証拠。

それに下腹部も痛い。奥を突かれているような痛みが時折(ときおり)頭を突き刺す。


   ーーもう准…には
   ーーもう…会えない…
   ーー例え百年に一度の伝説が…
     あったとしても

   ーーこんな(けが)れた女に
     そんな資格なんてない。


    止まらない涙。
  思い浮かべることさえ許されない
       愛しい貴方。


    初めての経験がこれ…。


     唯一の救いは
     その記憶が無いことだけ。


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