南の島のクリスマス(十年目のラブレター)
 (けが)れた服と下着をゴミ袋に叩き込んで、立ち上がり、少しふらつきながらも浴室に行ってバスタブの中に座り、身体の上からお湯をはる。

   チャポチャポと泣いてる。
   冷めた身体に()ねるようなお湯。


    ーーさようなら…准


そう聞こえる、部屋の外で強さを増していく嵐の泣き声。


   どのくらい入ってた?


 いつのまにか溢れ出すお湯が排水口に吸い込まれるのをじっと見つめていた。今夜の(いま)まわしく悲しい出来事も一緒に流してくれたらいいのにと…。



  どれだけ願っても願っても願っても…
     消えない心の傷。

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