堕天使系兄の攻略方法。
毎日全力疾走していた為、逃げ足だけはどうやら速くなったみたいだ。
あれから私達の噂は案の定、学校中に広まって。
“兄妹”と説明すれば女子生徒はみんな涙を浮かべるように喜んだ。
そりゃあ家族枠だし、私みたいなちんちくりんがあの男をたぶらかせるなんて微塵も思っていないのだろう。
……ぎゅってしてくれたけど。
「おかしいと思ったのよねぇ…。あんた湊先輩の話になると変に反応してたし」
「うぅ…、ごめん遥…」
その中でも変わらない反応をしてくれたのは遥だった。
もちろんあの後かなり驚きはされたけど、「あれはタワーマンションというより六○木ヒルズだわ」なんて冗談混じりに言ってくれたりして。
そんな友達の優しさに救われた私。
「それで?もう購買には買いに行かないの?」
「うん。もういいんだって」
そしてあの日から兄は少し優しくなった。
というより、なんか距離が近くなったように思う。
4限が終わってから全力疾走な日課も今はもう無くなって。
最初は慣れなくて変な感じがした。
「それにしても王子様な羽柴 湊の裏の顔が知れて嬉しいわ~」
「絶対秘密にしてねっ!あの人なに仕出かすか本当に分からないから…!」
「分かってるってば」