堕天使系兄の攻略方法。
すると背中から「兄妹にしては距離近くね?兄貴の方が特に」と、声がかかった。
こいつも扱いやすい馬鹿で助かった。
俺はこれを待ってたんだよ。
引っ掛かったと、唇の端を上げて振り返る。
「あぁ、俺達は義理の兄妹なんで」
「…え、」
「血が繋がってないんですよ。それじゃ」
羽川の引きつった顔に見送られ、俺は柚の手を引いて家路を辿った。
あいつは絶対こいつに気がある。
それがどんなものかは知らないが、俺からしてみれば害虫だ。
「もうっ!お兄ちゃんのせいで次のバイト行きづらくなった…!」
「そのまま辞めればいいよ」
「せっかく仕事に慣れてきたのに!絶対辞めないからっ!」
「は?なんで?あいつお前に危害しか加えないじゃん絶対」
ねぇ俺さ。
なんで今こいつをこのまま人目の無い場所へ、誰も居ないような場所へ拐っちゃいたいとか考えてんだろ。