堕天使系兄の攻略方法。
「柚ちゃんもよろしくね。私のことは慣れるまで“おばさん”って呼んでくれていいからね」
「お、お母さん…」
「あら嬉しいわ!女同士仲良くしましょうね!」
「んむっ…!!く、くるし…っ」
むぎゅっと抱きしめられたことで、新しいお母さんの胸に顔が食い込んで窒息してしまいそうだった。
とてもグラマーでお綺麗で、何故お父さんのような普通の人がこんなにレベルの高い女性をゲット出来たのかと不思議でならない。
小さい頃にお母さんが居なくなってしまってからずっと父子家庭で育ってきた。
だからこうして母親に抱き締められた記憶も覚えてなくて。
「柚、湊君に部屋を案内してあげたらどうだ?」
「うん。…せ、先輩、こちらになります」
「お兄ちゃんでいいよ。それと家では敬語はやめて欲しいかな」
兄妹なんだから───と、彼は言った。
兄妹……。
今日から私のお兄ちゃんはこの人で、私はこの人の妹。
夢のようだ。
夢じゃないよね…?
醒めたら変わらない毎日が来てしまったりしないよね…?
「………痛い。」
むにっと引っ張った頬は、じんじんと痛みが加わった。