堕天使系兄の攻略方法。
「なんかデザートとか買っとけば良かったよね柚」
「今から買って来るっ!」
「それは危ないから駄目。明日一緒に買いに行こうか」
カチャカチャと洗い物をしながら、ソファーに座る彼と会話のキャッチボール。
本当に新婚さんみたいだ…。
これで私が料理上手だったら良かったなぁ。
……って、さっきから何考えてるの私。
「…あ、ごめん。やっぱ明日は駄目だ」
スッと笑みが消えたお兄ちゃんはそう言って、「日中買っといてもらえる?」と付け足した。
どうして明日駄目なの?
なにかあるの?
またあの女の人に会うの…?
「やだ、明日一緒に買い物行こうよ」
「わがまま言うなよ」
「お兄ちゃんもわがままだよ。だっていま行こうって誘ったのは自分なのに…」
「それはごめん。…でも明日だけは本当に」
まだ私には知らないことがたくさんある。
私の話は少ししていたけど、そういえばこの人の話はあまり聞かなかった。
その夜はあまり寝つけられなくて、そのまま朝を迎えて。
外は鬱陶しいくらいの快晴だから「ばかやろーー!!」なんて叫んだら兄に案の定叱られた。
「ねぇ、それじゃ俺どこにも行けないんだけど」
家の中でも兄が動く度に私は後ろを追いかけて。
そして最終的には服を掴んで、無理矢理にでも動きを止めた。