堕天使系兄の攻略方法。
オレンジジュースと大好きな駅前のクッキー。
私の好きなものをこんなに簡単に出せるなんて、本当にお兄ちゃんになっちゃってる。
ありがとう、と形を作ろうとした。
唇をしっかり動かして目の前の兄を見ようとした。
「っ…あれ、…おかしいな、」
震えて仕方がない。
唇も、手も、足も。
全身がガタガタと小刻みに痙攣を繰り返して。
眠ろうと目をつむっても、つむってしまえば数時間前のことを思い出してしまう。
ぎゅっと無理矢理に忘れようとしても、あの声や感触や恐怖が襲ってくる。
「俺は怖い…?」
「…わかん、ない、」
上手く言葉すら紡げなかった。
でもお兄ちゃんは自分から私に触ろうとはしなかった。
静かに隣に座って、私からのアクションを待っている。