堕天使系兄の攻略方法。
「…そんなの言われたらそれだけじゃ済まなくなるよ」
私、この人が好きだ。
好きなんだ───…。
それは“お兄ちゃんとして好き”なんじゃなくて。
羽柴 湊が好きなんだ。
「…ここにしていい?」
唇に指が触れた。
その瞬間、部屋は真っ暗なはずなのに目の前がその人でいっぱいになる。
甘く優しい声から、とろけるような瞳から。
逸らせそうにない。
「んっ…!」
返事、まだしてないよ。
いいよって言ってないよ。
柔らかい感触は兄の唇だということ。
初めてをまた貰われてしまった。
「…秘密、出来ちゃったね」
誰に対して?
お父さん?お母さん?
それとも学校の生徒?
きっとそれは考えられる人、全てだ。
「全部お兄ちゃんでいっぱいにしてあげる。俺のことしか考えられなくなるくらい───…」
再び重なった影。
気付いたキモチはどんどん大きくなってゆく。
私は幸せな夢の中へと入っていった───。