堕天使系兄の攻略方法。
それなのにどうしてそんなにも甘い声で囁いているんだろう。
どうしてそんなにも優しい顔をしているんだろう。
動きと言葉が全然一致してない…。
「───っ、」
だから私は仕返しをするかのように、Tシャツから覗いた白い肩にガブッと噛みついた。
お兄ちゃんがやるようにちゅーちゅー吸っても全然同じようには出来ない。
だからガブガブと噛んでるだけ。
「どーだっ。………あれ?」
ぷはっと満足気に見つめてみても、目の前の男には効果はないらしい。
「…まさかとは思うけど、俺と同じことしたつもり?」
「う、うんっ」
「もう1回やってみて」
言われた通り顔を近付ける。
改めてさせられると、それはそれで恥ずかしさが出てくるけど。
やられっぱなしも嫌だから。
「それねぇ、噛んでるだけだから。歯形だらけになっちゃうよ俺」
まぁそれでもいいけど、と暗闇に放たれて消えた。
吸うってどうやるの…?
そもそも歯を付けるべきじゃないのかもしれない。
ただそっと唇を付けて、優しく合わせてればいいのかな。
「ん、…それはくすぐったい。…っていうかこれ、なんて拷問?」
これじゃあただ肩にキスしてるだけだ。