堕天使系兄の攻略方法。
「…うん、痛い」
「だって血出てるもん。あんなの凶器でしかないよね」
笑いごとじゃないよ。
全然笑えないよ、それに優しくしないで。
「帰るっ!」
「柚、ほら、」
「わっ…ぶっ!!」
ポーンと投げられたリュックは私のもの。
顔面で受け止めて、そのまま八つ当たり気味に背負った。
校舎を出ても校門を出てもそいつは後ろをついてくる。
「ついて来ないでっ!!バカ兄貴!!」
「だって家一緒じゃん」
そんな言葉にハッと視界が歪みそうになる。
同じ家で過ごせるのだって、この人が高校を卒業するまでなのだ。
こうして当たり前のように半年が過ぎたんだから、残りの半年だってすぐに過ぎ去ってしまう。
「バカ兄貴はないでしょ。それに、帰ったら手当てしなきゃ」
「…自分でするからいい」
「俺のせいでこうなったのに?」
頬を撫でられる。
少しひんやりと冷たい体温は、熱を持ったその場所には丁度いい。
それなのに全然冷めてなんかくれないこの熱。
あぁもう、……やだ。