堕天使系兄の攻略方法。
「今どこにいるの…?なにしてるの?お母さんは、誰かと住んでるの?
私はね、私はあれからお父さんと毎日───」
「柚、」
トンっと、肩に手が置かれた。
「そんなに一気に聞いても答えられないよ」
その人は小さな子供に言い聞かせるように私を柔らかく止めた。
お母さん、少しやつれたような気がする…。
いや、純粋に年を取っただけなのかもしれないけど。
それでも記憶の中より細くなっていて。
お母さんってこんなに小さかったっけって。
「ごほっ、…ごほっ、」
「…具合、悪いの?」
「…ううん、大丈夫よ。ちょっと最近疲れてるだけなの。朝から晩までパートで忙しくてね」
隈もすごいし、肌だってカサカサだ。
お化粧だって出来ていないんだろう。
そんな暇がないくらいに毎日必死なんだろうなって、見ているだけで察しがついた。
私はリュックからおもむろにメモとペンを取り出して、メアドと携帯番号を書く。
「な、なにかあったら連絡してっ!なにも出来ないかもしれないけど……話聞くくらいは出来るから…!」