堕天使系兄の攻略方法。
今っていうか、あの日から見てない。
そう思うとあのときから俺はこいつのことが好きだったのか。
誕生日のときに抱き締めたのだって、俺がそうしたかったから。
お兄ちゃんって口実を使ってお前に触れたかっただけだ。
「……み、、、、、、。」
「み」で止まった。
そして続ける気はないようだ。
「は?終わり?お前の中で俺の名前ってそんなに短いの?」
「む、無理だよ…急に言われても」
俺は今、きっとすごい優しい顔で笑ってる。
それでお前はたぶん泣きそうな顔してんだろう。
「あ……星、綺麗…」
柚が指をまっすぐ差した先、満点の星空が俺達を見下ろしていた。
この時間と秋の少し冷えた夜の空気が輝きを増してくれる。
「…お母さんの具合が良くなるまで、私がバイトして支えたいの」
「また変な奴に襲われたら?俺もう助けてあげられないかもよ?」
「…うん。絶対そうならないようにする」
それがこいつの決めた選択ならば、引き留める義理なんかない。