堕天使系兄の攻略方法。




あぁ、もどかしいなぁ。


好きだって伝えたいけど簡単には伝えることが出来ない。

どうでもいい女にはあんなにもサラッと言えてしまうのに。



「柚、離れても俺はお前のお兄ちゃんでいてもいい?」



そこだけでも繋がっていれば特別でいることが出来る。



「…うん。お兄ちゃんは、…ずっとずっと、特別」



その特別がどんな意味を持っているのなんか、俺には分かっちゃうんだよ。


だってお前のお兄ちゃんだよ?

お前が考えることなんか分かってしまう。



「……あ、待って、いま流れ星じゃなかった?」


「えっ!うそっ!?」


「本当。…あ、ほら!光った!」


「すごいよ!私初めて見たっ!!」



またこいつの“初めて”が貰えた。

それだけで十分だって気持ちと、そんなにも満面の笑顔を向けられては抑えられない気持ち。


後者が全面的に溢れてしまえばいい。

なんにも考えなくていいくらい溢れたら、俺はそこに乗っかれるのに。



「あっ!また流れ───…」



そっと唇を合わせた。

ちゅっとすぐに離れたそれは、どこか名残惜しい。



「…帰ろっか」


「……うん」



ねぇ誰か。

馬鹿で鈍感で素直じゃなくて、それでいて責任感の強い優しい義妹の攻略方法。


俺に教えてくれませんか。



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