堕天使系兄の攻略方法。
そのスマートフォンが震える。
まるでそれを待ちわびていたかのように、ピッと廣瀬さんは耳に当てた。
「久しぶり。ははっ、俺の鼓膜破けるってチビ。うん、そうそう俺も冬休みは会えそうだよ。理久もいるなら───」
楽しそうに笑いながら彼は厨房の奥へと消えて行く寸前「あ、真崎ちゃんおつかれー」と、ちゃんと挨拶は忘れていないらしい。
友達かな。
高校卒業しても大学へ行ってもずっと続く友達っていいなぁ。
私とあの人は……ずっと兄妹のままなのかな。
「お疲れ様ですー」
秋の風が冷たくなって、もう冬に変わろうとしている。
町はイルミネーションがちらほら目立つようになってきた。
ほうっと、吐いた息が白く変わりそうだ。
「お~シチューだ~!」