堕天使系兄の攻略方法。
本当は違う。
このひ弱な男子生徒は、隣のクラスの山本くんだ。
全然関わったことがないけど、中学からしょっちゅうこういうものに絡まれてしまう性分の人だという認識はあった。
「はははっ!女に守られるなんてダセェなお前!」
「じゃあその子でいいや。ねぇ金ある?」
お金なんかない。
バイト代はほとんどお母さんとの生活の足しにしているし、財布の中に入っているお金はお母さんから預かった食費だ。
「な、ないです…」
「でもわざわざ加わりに来たってことは君もそれなりに覚悟してるよねー?」
ギャハギャハと騒ぎ出す男達。
最初捕まっていたはずの山本くんはいつのまにか逃げてしまった。
ここは校舎裏。
ごみ捨て場があって、私は毎回こういう場所に縁があるのかなぁとも思ってくる。
「や、やめてくださいっ!返してっ!」
入学当初から愛用しているリュックを奪われて、財布は呆気なく取られた。
「お、ラッキー。1万入ってるじゃねぇか」
食費として入っていた1万円は男の手に簡単に見つかってしまい。