堕天使系兄の攻略方法。




「湊先輩…!?」



その名前が上がれば、数分もしないうちに生徒達が囲んだ。

この日だからこそいつも以上に女の子達で溢れかえっている。


こんなところを公開処刑だなんて…。



「柚、お前まだこいつのこと好きなの?」


「違うに決まってるじゃんっ!事故なのっ!」



もう知ってるくせに。

地面に落ちたメッセージカード。


そこにはしっかりと“お兄ちゃんへ”と書かれている。

それをひょいっと拾って、兄は少し笑った。



「あ、これ…、お兄ちゃんに」



大きな3つの袋を差し出す。

私達を囲む女子生徒達の想いの結晶体だ。


私のそんなものは呆気なく散ってしまったけれど…。



「みんなありがとう」



少し大きな声を彼は発した。


にこやかに微笑んだ顔は生徒会長であり人気者の羽柴 湊だ。

そしてその笑みは、スッと私が今まで見てきたものに近い表情へと変わる。



「でもごめん。今年からは受け取らないって決めたんだ」



ざわざわ、ひそひそ。
ぐすんぐすん。

擬音という擬音が響き渡る。



「俺、好きな子が出来ちゃったから」



ぐいっ───。


気付けば腕を引かれて、集まる生徒達の視線は一瞬にして私へと。



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