堕天使系兄の攻略方法。




けれどほとんどが頭の上にはてなマークを浮かべていた。

そりゃそうだ、私は妹なんだから。



「真崎さんは妹でしょっ!」


「そーよ羽柴くんっ!」



あ、“みんなの羽柴くん軍団”の方達だ。

私を毎回屋上やら裏庭やらに呼び出して、ビンタを食らわせた3年女子。



「まぁ妹ではあるよね。一緒に住んでるし、俺こいつの下着姿とか見てるし」


「ちょっ!なに言ってるの…!?」


「あぁ、一緒に寝たこともたくさんあるよね柚」



まるでそれは───悪魔。


この場で笑ってるのはあなたくらいだよ、羽柴 湊。

そしてその笑みは天使の笑みなんかじゃない。



「柚、俺にはチョコないの?ずっと待ってるんだけど」



女子達の発狂染みた悲鳴など気にすることなく、いつもの調子で聞いてくる。

あったよ、これがそのチョコなんだよ。



「…これ、落としちゃって、」


「あー…勿体無いなぁ」


「頑張って作ったのに…」



じわっと涙が溢れてきた。


あんなに渡す練習したのに、お母さんも一緒に作ってくれたのに。

なんでこうなっちゃうの…。



「また作ってくれる?」


「うん、…来年こそは」



でも来年は一緒には住んでないのかなぁ。

お兄ちゃん、大学受かっちゃったから。



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