堕天使系兄の攻略方法。
エピローグ
───春休みになった。
新生活が始まる季節。
大学生や社会人。
家電屋さんに行けば、“新生活応援キャンペーン!”なんてものがどこも掲げられていて。
「やっぱ冷蔵庫はこれくらい必要じゃない?」
「そうだなぁ。湊も大学生だしな、奮発するか」
え、大きすぎじゃない…?
どう考えても一人暮らしする大学生のサイズじゃないでしょ…。
普通に大型じゃん。
うちのより大きいじゃん。
「これすっごく高いよお父さんっ!やっぱり考え直した方がいいと思うっ!!」
「なに言ってるんだ。そういうわけにはいかないだろう」
「そーよ柚ちゃん。前々から決まってたことだもの」
そりゃそうだけどさっ!
やっぱり結局こうなっちゃうのかぁ…。
「なに、柚。今までずっと一緒だったから寂しいの?」
「…そりゃ寂しいよ。…みな…お兄ちゃんは寂しくないの」
「うん、寂しいね」
家族の前では“お兄ちゃん”。
それは私が決めたルールだった。
彼は両親の前でも名前で呼んで欲しいらしいけど、それはやっぱりどこか恥ずかしさもあって。