堕天使系兄の攻略方法。
「おい柚、なにも泣くことはないだろう」
「そうよ。愛着があるのはわかるけど…」
愛着って可愛い表現だ。
愛着とはまた別のものなんだけど…。
………愛着…?
「あの、…これってお兄ちゃんの一人暮らしの家具選びだよね…?」
「なに言ってるんだ。湊は一人暮らしはせず家から通うことになったじゃないか」
「………え。」
「これは俺達が使う新しい冷蔵庫だぞ」
どおりでそんなに大きいわけだ。
それにさっきから冷蔵庫しか見てないし、一人暮らしならベッドとかテーブルとか、他にも見るものがある。
どうにも冷蔵庫に拘るなぁと思っていた。
「ええええ!?そうなの!?え!?一人暮らしするんじゃないの!?」
「辞めたの。だって俺、柚と離れたくないし」
「聞いてないんだけどっ!!」
「そのお前の顔が見たくてあえて言わなかったんだ」
今まで私がどれだけ毎日その不安と戦ってたと思ってるの…!!
やっと気持ちが伝わったと思ったら、今度は物理的に離れちゃうんだ…って。
「こっのバカ兄貴っ!!…良かったぁぁっ」
「柚、お店では静かに。…それと馬鹿は聞き捨てならないな」
あ、やばい。
これは悪魔が顔を出してる…。