堕天使系兄の攻略方法。




「ありがとうお兄ちゃん!!」


「もうお兄様のレベルじゃない?」


「お兄様っ!!」



自分が言わせといてびっくりしてる顔が目の前にあった。

なんで驚いてるの、あなたの言ってた通りお兄様でいい。


ここはもう認める。



「あっそうだ!ちょっと待ってて!!」



だってもし私から教えてと言っていたら、この堕天使は「嫌だ」と断っていただろうから。

こんな絶好なチャンス、逃すわけにはいかない。


ふんふんと鼻歌混じりにキッチンへ向かい、ガサゴソと漁って冷蔵庫を開ける。



「はいっ!これね、駅前のスイーツ屋さんの美味しいクッキーなの!特別にあげるねっ」



兄の持つお盆にはクッキーとオレンジジュースが注がれたグラス2つを追加させ、計4人分の飲み物になってしまった。


これは柚スペシャル。

いつも秘密にひっそりとティータイムするお気に入りのセットだった。


それを無理矢理に兄へと渡し、満面の笑みで見送る。



「20分でも30分でも1時間でもいいよ!どうぞごゆっくり~」


「……お前意味わかってないでしょ」


「え?あ!カップルさんのお熱い時間は邪魔しないから安心して!」


「…いや絶対わかってないなこいつ」



私の中でお付き合いというものは自分にとってまだまだ先で、彼氏彼女なんて言葉すら大人に思えた。

遥は「あんたの純粋さが羨ましいときもあるのよね」なんてたまに言ってくれるけど。


どーせ私はまだウサギさんパンツだから。



< 28 / 244 >

この作品をシェア

pagetop