堕天使系兄の攻略方法。
「ありがとうお兄ちゃん!!」
「もうお兄様のレベルじゃない?」
「お兄様っ!!」
自分が言わせといてびっくりしてる顔が目の前にあった。
なんで驚いてるの、あなたの言ってた通りお兄様でいい。
ここはもう認める。
「あっそうだ!ちょっと待ってて!!」
だってもし私から教えてと言っていたら、この堕天使は「嫌だ」と断っていただろうから。
こんな絶好なチャンス、逃すわけにはいかない。
ふんふんと鼻歌混じりにキッチンへ向かい、ガサゴソと漁って冷蔵庫を開ける。
「はいっ!これね、駅前のスイーツ屋さんの美味しいクッキーなの!特別にあげるねっ」
兄の持つお盆にはクッキーとオレンジジュースが注がれたグラス2つを追加させ、計4人分の飲み物になってしまった。
これは柚スペシャル。
いつも秘密にひっそりとティータイムするお気に入りのセットだった。
それを無理矢理に兄へと渡し、満面の笑みで見送る。
「20分でも30分でも1時間でもいいよ!どうぞごゆっくり~」
「……お前意味わかってないでしょ」
「え?あ!カップルさんのお熱い時間は邪魔しないから安心して!」
「…いや絶対わかってないなこいつ」
私の中でお付き合いというものは自分にとってまだまだ先で、彼氏彼女なんて言葉すら大人に思えた。
遥は「あんたの純粋さが羨ましいときもあるのよね」なんてたまに言ってくれるけど。
どーせ私はまだウサギさんパンツだから。