堕天使系兄の攻略方法。
「なんかウケるー。湊の妹にしてはちょっと残念って感じ?」
そんな私へと吹き出すように笑ったのは、彼に腕を絡ませる女だった。
明らかに高校生ではなく、私服に茶髪。
キラッと光るピアスは大学生と見た。
羽柴 湊はこういう女を好きになるんだ…と、ちょっと意外だった。
なんて言うか………ケバい。
「だって顔も似てないし」
そりゃあ血が繋がってませんし。
それに兄妹になってまだ1ヶ月程しか経っていませんから。
…って言ってもいいのかな。
でも後々なにか言われたら怖いしなぁ。
「そ?…かわいーじゃん」
耳を疑った。
「そうだよ、俺もこんな妹で最悪」なんて言葉が返ってくると、てっきり思っていたから。
身構えていたというのに。
「なんか元気出た気するよ」
初めて言われたその言葉は、お盆に乗った柚スペシャルのことを言っているのだろう。
「お利口さんにしててね柚」
「う、うん。ごゆっくり……」
そのまま背中を向けたお兄ちゃんは「あーでも、ヤる気失せたなぁ」と呟きながら階段を登って行った。
ただ茫然と立ちすくむ私は既に居なくなったあとの階段を1つ1つ数えるように、唖然と見つめることしか。