堕天使系兄の攻略方法。
知らない独占欲
兄の付きっきりの看病のおかげで無事に風邪も治った。
そして次に迫るは私の一番嫌いな日───の、前に。
「湊先輩~!!頑張って~!!!」
「キャーーー!!こっち向いた~~!!」
なーにが「応援ありがとう」だ。
なーにが王子様スマイルだ。
グラウンドを駆け抜けるジャージ姿、汗なんか吹き飛ばすくらいの爽やかな笑顔は、また1点を追加させた。
「柚っ!次あたしらの番だって!!」
「はーいっ!」
迎えた体育祭、私はキュッと靴紐を結んで体育館へ向かった。
バレーボール、ポジションは何故かセンターという一番目立つ場所に任命されてしまった理由は……。
「柚、頼んだ…!あたしの分までアタック決めて来て…!」
「よっちんんんんん!!!」
クラスメイトのバレー部所属のエースである荒川 吉乃(あらかわ よしの)。
通称“よっちん”が不慮の捻挫によって試合に出られなくなってしまったからだった。
私は補欠だった為、体育祭は応援係で終われると思ってたのに…。
「キャー!!湊先輩見てるっ!!」
なに…っ!?
体育館2階を指差したクラスメイト。
その場所に手をヒラヒラ振っている男を発見。