堕天使系兄の攻略方法。
「柚っ!お願い決めて…!!」
大きなトスが上がった。
これで決めれば1点リード。
1点でも決めればよっちんだって文句は無いはずだ。
やるしかない。
なにかやる気が出るものを思い浮かべればいいんだ。
例えば言われて嬉しいこととか、されて嬉しいこととか。
「いけー!柚っ!!」
誰かに褒められることを想像すればいいんだ。
『さすが俺の妹』
『ありがとう柚』
あれ…?私なんでこの人のこと思い浮かべてるんだろ?
───パシッ!!!
「おおおおーー!!」
「ナイス柚!!よくやった!!」
インコースギリギリにアタックが決まり、私は無事にセンターとして活躍は出来たらしい。
そのあとは周りも感化されたのか遥もバシバシ決めていって、私達のクラスはバレーで学年優勝を果たした。
それでも私の中にはずっとあのとき思い浮かべていた理由ばかりがぐるぐると駆け巡る。
どうして羽柴 湊に褒められることを、あの人の嬉しそうな顔を想像してしまったんだろう。
「真崎!」
「…恭平君、」
体育祭終わりの片付けに放課後まで居残っていたとき。
久しぶりにかけられた声に、思わず肩が跳ねた。