堕天使系兄の攻略方法。
あの日からお前見るとムカつくし、確か橋本 恭平?だっけ。
そもそもあいつ全然格好良くないじゃん。
角刈りだし眉毛太いし、どこの板前だよって感じでさ。
こいつの趣味どうなってんの?
それでも今日は柚が生まれた日だから。
「食べていいよって言ってんの」
「…え、でも結局私のお小遣───」
「なにか文句ある?」
「…ないです」
俺の昼食である焼きそばパンと野菜ジュースをぎこちなく受け取って、そいつはゆっくりと食べ始めた。
誕生日って何してあげればいいの?
なにをすればこいつは喜ぶの?
そもそもあの体育祭以来、全然笑ってないしお前。
「美味しい?」
「…うん。でも誰かに見つかったら私、退学になっちゃうよ…」
「誰も来ないから大丈夫でしょ」
───と、そんなとき。
ガチャと屋上のドアノブが回されて、数人の男達の声が聞こえる。
「っ…!!」
俺の腕を力強く引いて物陰に隠れた柚。
それは誰かに見つかる恐怖に怯えてるのではなくて。
「おい、いいのかよ本当に」
「バレなきゃ大丈夫だって!」
「俺知らねーぞ恭平!」
その声にいち早くこいつが気付いたからだろう。
そしてその名前を聞いた途端に、俺の中でも何かが生まれた。