堕天使系兄の攻略方法。
だからこいつらのことも特に知らないし、俺と出会う前の柚のことだって全然知らない。
「ないない!あいつだけは無いっしょ!それにあいつ俺に告ってきたとき、リップなんか付けて髪も女みたいに気合い入っててマジ爆笑もんだったわ!」
「マジで!?見たかったわ!」
「なんで教えてくれなかったんだよ!同じクラスだっただろ!」
少し先、俺達が隠れていることに気付かない数人はゲラゲラと腹を抱えて笑い出す。
その話の中心は俺の知らなかった柚のことで。
「散々な言われようじゃん柚」
「……」
あぁ、間違えたかも。
からかってはいけなかった。
なにやってんだよ、俺。
俺に背中を向けて物陰からじっと見つめている妹がどんな顔をしているかなんて、大体は分かる。
だってお兄ちゃんだから。