堕天使系兄の攻略方法。
誕生日を忘れた日は初めてだった。
忘れられた日は、初めてだった。
いつものようにお父さんお母さんに「おはよう」って言われて、朝食を食べて家を出て、兄の為に全力疾走して。
そんなことしてたら自分の誕生日にお母さんが出て行っちゃったことも忘れてたんだよ。
「…あははっ」
「…なに笑ってんだよ」
「ううん、…なんかある意味すごい誕生日だなぁって」
だってあんな公開処刑みたいなことされちやって、お兄ちゃんの前で泣いて。
そしたら全校生徒にバレちゃったし、今こうして抱きしめられてるし。
色々詰め込まれ過ぎてて未だに脳が全てを理解出来てない。
「こんなに楽しい誕生日、…初めて」
スッと顔を上げてみる。
ムスッと口を尖らすような顔を発見した。
そんな顔を知れたのだって、私からすればとても嬉しいプレゼントだ。
「屋上で庇ってくれてありがとう。
…やっぱりお兄ちゃんは格好良いねっ」
ニッと、いつも通りの笑顔。
涙は拭けてないけど、きっと不細工な顔してるだろうけど。
それでも恭平君の前に立ったお兄ちゃんを見たとき、嬉しくて仕方がなかった。
本当はずっと助けてって思ってたんだよ。
無理して笑ってたけど、苦しくて堪らなかった。
「…あー、やばい。なんか可愛く見えてきた」