堕天使系兄の攻略方法。




ハッと意識を戻すように、息を吸う音が聞こえた。

唇と唇が合わさりそうな数秒前でピタリと止まった動きは、そのまま長いため息と共に肩へと落ちる。



「……やば、…あっぶな…」



肩に顔を埋めるようにしてそんな言葉。

危ない…?
今、何しようとした…?


あのままもし続けてたら───…



「…ごめん。ちょっとしばらくこうさせて」


「う、うん…」



思えばここは兄の部屋、そして兄のベッドの上だ。

制服姿のまま抱き締められていて。


サラサラと揺れるカーテン、勉強机に置かれた開かれたままの本はパラパラと風でページが捲られてゆく。



「…柚、」


「ど、どうしたの…?」


「プレゼントも何も用意出来なくてごめんね。…でもこれは俺の本心だから、黙って聞いてて」



たったの今さっきとはまた違った空気感に、ゴクリと息を飲んだ。

ドキドキと心臓がうるさい。

少し掠れた声は肩からダイレクトに届いてくる。


そんなものに、ぎゅっと目を閉じた。



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