地味で根暗で電信柱な私だけど、あったかくしてくれますか?
「やっほー、ゆかちゃん来たよぉ」

 もうすぐ午後一時半になろうかという頃、私がコンピュータ関連の書棚を整理していると姉が現れた。

 一六五センチの身長はそれより二十センチ高い私から見ると子供に思える。同じ母親から生まれてきたのに、私が妹なのに、きっと何も知らない人の目には私が姉に映るだろう。

 姉に落ち度はないけれどついつい辛く当たってしまう理由の一つ目はこれだ。そして後でそんな自分に嫌気が差してくるのである。

 黒髪をセミロングにした姉は十人見れば十人可愛いと叫ぶほど可愛かった。薄い眉とぱっちりした目、小さな鼻と口、それぞれのパーツが収まるべきところに収まったといった感じで私とは大違いだ。

「それで? ゆかちゃんの彼氏はもう来ちゃった?」

 きょろきょろとあたりを見回しながら姉がたずねた。

「山田さん情報だと今くらいの時間にその人と会えるらしいんだけど」
「……」

 山田さん。

 何でそんな余計な情報与えるかなぁ。

 できれば姉と佐藤さんを会わせたくなかった。

 妹の私から見ても姉は可愛い。

 そのせいか私が良いなと思った人はみんな彼女に惹かれていった。小学生の頃から今日に至るまでいつも男の人は姉を好きになるのだ。そして私は戦うことなく敗北する。

 姉に辛く当たってしまう理由の二つ目がこれだ。

 姉に悪気はない。いや、ないことを祈りたい。もし悪気があったのなら……ううっ、これ怖いから考えるのやめよう。
 
 
 
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