地味で根暗で電信柱な私だけど、あったかくしてくれますか?
 今度は佐藤さんが訊いてきた。

「どうして俺が清川さんと付き合ってるって知ってるんですか?」

 うん、そうだよね。

 そこ、聞きたいよね。

 姉がふふーんと薄い胸を張った。

「そんなの決まってるでしょ。ゆかちゃんの姉を何年やってると思ってるの? あーんなことやこーんなことまで全て知ってるわよ」
「……」

 姉さん、その割には山田さんに教わるまで佐藤さんのこと知らなかったよね?

 私は真相を暴露した。

「技術評論書房の山田さんから聞いたそうですよ」
「あー山田さんかぁ」

 妙に腑に落ちたといった様子で佐藤さんがうなずいた。

「山田さんルートで情報が流れたんなら仕方がないですよね。あの人歩くスピーカーですし」
「……」

 佐藤さん、それ何気に本人が聞いたら泣くから言わないであげて。
 
 
 
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