【新説】犬鳴村
「こらあっ!危ねえだろが!どこに目つけとっとかお前!えっ!?」
怒鳴(どな)りながら運転席のドアを開けたのは、運転していた賢治と同級生だった『藤田孝夫(ふじたたかお)』。


「お前…柴田じゃん!ひさっしぶりー」
と金髪のロン毛の男がドアを開けた。

「あ…ごめん…タカちゃん。大丈夫?徹夜明けで仕事終わったばっかで眠くてつい。ほんとごめん。」と運転席の賢治は気まずそうにそう答えた。


 というのもタカちゃんと呼ばれた金髪の男は、地元でも有名なヤンキーでほとんど仕事もせずたまに知り合いのテキ屋(露天商(ろてんしょう))の手伝いをする程度。

喧嘩、カツアゲ、窃盗(せっとう)強姦(ごうかん)まがいのことなど、当たり前のように考えている前科者(ぜんかもの)で、それで工業高校も退学になっていた。


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