【新説】犬鳴村
「で!?主人はどこです!?主人は!」
「いえ、誰もその車には乗っておられませんでした。スマホと免許証しかなく、他には何もなかったです。」

「それ、見せて下さい!高橋康介(たかはしこうすけ)じゃ!?」
「車はどこにあったとですか!?」
「新犬鳴トンネルの200mくらい手前の路肩(ろかた)に停めてありましたけど。」

犬鳴(いぬなき)!??ですか?」
とその女性、高橋康介の妻の高橋ゆかりは叫んだ。

「犬鳴って言うたか今?」
と年配の刑事が若い警官の方を見た。

「ええ…犬鳴っす。それが何か?」

「奥さん、なんで『犬鳴』に驚かっしゃったとですか?」
年配の刑事がゆかりに尋ねた。

「今、主人がケータイ小説ってやつですか…そのサイトで『犬鳴峠』って小説ば書きよるとです。それで…そがんとこ行ったんかと。」


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