もふもふになっちゃった私ののんびり生活
門まで三人で速足で行く間に、すれ違った人はわずかに十人足らず。いつもの街から考えられないくらいに人通りが無かった。
門番の人に驚かれながら門を出ると、門が見えなくなった場所でおばあさんが。
「ヴィクトル。私達を乗せな。その方がすぐに着くだろう」
「……ここでか?それにばあさんまで俺に乗せるのか?」
「誰もお前さんの裸なんて見やしないよ!今は緊急事態なんだから、四の五の言わないでさっさとしな!ルリィだって、早く村へ着きたいだろう?」
「チッ。仕方ないな。ルリィ、獣姿になるから、ちょっと前を向いててくれ」
「いや、私はヴィクトルさんの着替える姿なんて見ないですよ!!」
おばあさんもヴィクトルさんも、二人の会話だと途端に言葉が荒くなる。それがちょっと寂しく感じたこともあったけど、まあ、子供に話し掛けるのに荒い言葉遣いもないよね、と気にしないことにした。
後ろからバサバサと服を脱ぎ捨てる音がしていたが、当然振り返らない。
枝からセフィーの「女性の後ろで服を脱いで裸になるなんて、どんな変態ですか!」という言葉が聞こえてきたが、それも無視だ!
それを言ったら私だって結界を張っているとはいえ、何度もヴィクトルさんの近くで変化する為に服を脱いでいるんだし。って、私が結界を張れば良かったんじゃないの?光学迷彩!
「ああっ!ヴィクトルさん、結界を張りますか?」
『いや、もう変化した。ほら、ルリィ、乗れ。仕方ないからばあさんも今回は特別に乗せてやるから』
声を掛ける時に無意識に振り向きそうになり、内心わたわたしていたら、戻って来た返事は念話だった。
さっさと後ろを振り向いたおばあさんが、「ほお、ヴィクターってのは随分デカイんだね。これなら二人乗っても余裕だね」と言いながらヴィクトルさんに背に運ばせていた。
「ルリィ、ほら早くお乗り!急いで村へ行くんだろう?」
「は、はいっ!ヴィクトルさん、よろしくお願いします!」
振り向くとすぐ目の前にヴィクトルさんの大きな顔があったが、下してくれた手に乗り、上へと上げて貰う。
すでにこの間私が座っていた場所の近くに座っていたおばあさんに手招きされ、前に座らせられる。
『ルリィ、ばあさんと二人分、結界で囲んでくれ。走るから落ちないようにな』
「わかりました!」
すぐに結界で二人の身体を囲んで固定すると、それを察知したヴィクトルさんがいつもと違う道の方へ一直線に駆け出した。
「あの、そういえば街のすぐ近くで獣姿に変化して大丈夫なんですか?今だってどこからでもヴィクトルさんの姿は見えますよね?」
周囲は見渡す限り草原だから、身体の大きなヴィクトルさんはその赤い毛並みと相まって遠くからでも目立つだろう。
今は見えるところに人の気配はないが、この先はわからない。それにヴィクトルさんは大きいから、門番からも見えていたんじゃないだろうか。
門番の人に驚かれながら門を出ると、門が見えなくなった場所でおばあさんが。
「ヴィクトル。私達を乗せな。その方がすぐに着くだろう」
「……ここでか?それにばあさんまで俺に乗せるのか?」
「誰もお前さんの裸なんて見やしないよ!今は緊急事態なんだから、四の五の言わないでさっさとしな!ルリィだって、早く村へ着きたいだろう?」
「チッ。仕方ないな。ルリィ、獣姿になるから、ちょっと前を向いててくれ」
「いや、私はヴィクトルさんの着替える姿なんて見ないですよ!!」
おばあさんもヴィクトルさんも、二人の会話だと途端に言葉が荒くなる。それがちょっと寂しく感じたこともあったけど、まあ、子供に話し掛けるのに荒い言葉遣いもないよね、と気にしないことにした。
後ろからバサバサと服を脱ぎ捨てる音がしていたが、当然振り返らない。
枝からセフィーの「女性の後ろで服を脱いで裸になるなんて、どんな変態ですか!」という言葉が聞こえてきたが、それも無視だ!
それを言ったら私だって結界を張っているとはいえ、何度もヴィクトルさんの近くで変化する為に服を脱いでいるんだし。って、私が結界を張れば良かったんじゃないの?光学迷彩!
「ああっ!ヴィクトルさん、結界を張りますか?」
『いや、もう変化した。ほら、ルリィ、乗れ。仕方ないからばあさんも今回は特別に乗せてやるから』
声を掛ける時に無意識に振り向きそうになり、内心わたわたしていたら、戻って来た返事は念話だった。
さっさと後ろを振り向いたおばあさんが、「ほお、ヴィクターってのは随分デカイんだね。これなら二人乗っても余裕だね」と言いながらヴィクトルさんに背に運ばせていた。
「ルリィ、ほら早くお乗り!急いで村へ行くんだろう?」
「は、はいっ!ヴィクトルさん、よろしくお願いします!」
振り向くとすぐ目の前にヴィクトルさんの大きな顔があったが、下してくれた手に乗り、上へと上げて貰う。
すでにこの間私が座っていた場所の近くに座っていたおばあさんに手招きされ、前に座らせられる。
『ルリィ、ばあさんと二人分、結界で囲んでくれ。走るから落ちないようにな』
「わかりました!」
すぐに結界で二人の身体を囲んで固定すると、それを察知したヴィクトルさんがいつもと違う道の方へ一直線に駆け出した。
「あの、そういえば街のすぐ近くで獣姿に変化して大丈夫なんですか?今だってどこからでもヴィクトルさんの姿は見えますよね?」
周囲は見渡す限り草原だから、身体の大きなヴィクトルさんはその赤い毛並みと相まって遠くからでも目立つだろう。
今は見えるところに人の気配はないが、この先はわからない。それにヴィクトルさんは大きいから、門番からも見えていたんじゃないだろうか。