もふもふになっちゃった私ののんびり生活
「じゃあ、行こうか。とりあえず次の街を目指す、でいいんだよな?」
「はい!途中の村や街を経由して王都を見てみたいです!」
十五歳になり、身長は百五十センチになったがあまり縮まっていない身長差を見上げながら返事をする。
最初の行先は、アイリちゃんが行ってみたいと言っていた、この国の王都へ決めた。
旅に出るにあたって、この大陸の地理のことをヴィクトルさんに聞くと、この大陸には大きな国が四つにあとは小さな国がいくつもあるそうだ。ただ私が暮らしていたような広大な森やドラゴン種が棲む山脈があちこちにあるので、国同士の行き来はそれ程ないようだ。まあ、旅をするにも命がけだしね。
この世界にも海はあり、他の大陸もあるそうだが人の行き来はないそうだ。何故なら海は海の魔物が支配していて、とてもではないが長い航海は無理だという。それなら空から、と思ったら、空にも魔物がいるし、他の大陸までは距離があってとても無理だそうだ。
なら、なんで他の大陸があることをヴィクトルさんが知っていたかと言うと、ドラゴン種なら空から移動することも可能だから、らしい。
「まあ、海の向こうにある大きな大陸は、もっと殺伐としていてドラゴン種でも住みたい場所でもないって言っていたぞ。ルリィが詳しく知りたいなら、ドラゴン種の知り合いを紹介しよう」
と言われたが、ドラゴン種でさえ寄り付かない場所なんてどうやっても行きたいとも思わない。
ただ、この話を聞いた時、世界の広さに心は踊ったものだ。
「本当に、俺に乗らないでいいのか?獣姿で旅をしてもいいんだぞ?」
「いいんです!人の姿でのんびり歩いて色々見ながら旅をするのが今回の目的の一つなんですから!急がないですから、ゆっくり行きましょう!」
前世では、旅行へは簡単に行くことも出来たのに、行く余裕が全く無かった。せっかく神様がこうして生まれ変わらせてくれたのだから、前世でできなかった旅をしながら、様々な場所を見て回りたい。
あと目的といったらお米を探すことくらいだし、急ぐことなんてないしからあちこち街や村以外にも寄りながら旅に出てものんびりと、だ!
神様。転生させてくれて、本当にありがとうございました!この世界では、ゆっくりと生きることを楽しんでいきます。安心して見守っていて下さいね!
果てしなく広がる青い空を見上げて神様に感謝を捧げると、まだ見ぬ場所への一歩を踏み出したのだった。
fin