もふもふになっちゃった私ののんびり生活
 次の日の朝の目覚めは、あの夢を見た次の日とは思えないくらいにさわやかだった。
 まだぽやーっとする頭で、昨夜、何か優しい気配が悪夢を払ってくれたのを思い出す。

 あれは……神様?なんだかちょっとだけ神様の気配があったような……。

 うむーー……と考えていると、傾き過ぎた身体がコテンと転がった。そのままゴロゴロと転がっている内に、まあ、いいか、という気持ちになった。

 この体に馴染むにつれて、少しずつ前世の三十歳の女性だった頃の感覚が薄れて行っている気がしている。でも、それは当然のことだし、前世の記憶はあっても今世には関係ないので、幼児化していく自分を受け入れていた。

 楽しい時は楽しい、とスキップできる今の方がずっといいからね!

 でも、この世界に来て、今まで一度も神様の存在を感じたことが無かったのに、昨夜はどうして感じたんだろう?

 正確に言えば結界の幕に触れた時に、残り香のような気配を感じていたが、直接感じたのは初めてだ。

 もしかしたらあの大木に何かがあるのかな?よーし!今日は頑張って歩こう!

 そう決意して木の洞を出ると、朝食の果実を調達して食べると一路大木を目指して歩き出した。
 それでも途中で見たことのない花につられてフラフラ近寄って匂いを嗅いでみたり、目の前を横切った羽虫を追ってしまったりしたが、自分なりに懸命に歩いて行く。
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