もふもふになっちゃった私ののんびり生活

 その姿がようやく大きく見えて来たのは、そろそろ昼食を食べて昼寝しようかと思っていた頃だった。

「キャウッ!!」

 やった!と弾んだ私は、うれしくなってそのままの勢いで走り出した。
 けど、小さな身体の私ではいくら走ったところでそれ程距離を稼げる訳もなく。気づくと空腹と疲れでポテンと転がっていた。

 ま、まずい……。せめて、何か食べないと……。

 そのまま食べられる物を探してぷるぷると震えつつ匍匐前進し、近くに落ちていた木の実や野草をハムハムと噛んでなんんとか飲み込むと、そのままの恰好で眠りに落ちていた。


 寒さに起きた時にはもう夕暮れ時で、ブルブルと身震いをして立ち上がると夕食と今夜の寝床を探した。

 そうしてほどなく山ブドウのように小さな粒がたくさん集まった果実を見つけた。実の色は黄色だったが、直感が食べられると告げていたのでパクッと口に入れてみると。

 あまーいっ!こんなに小さいのに、果汁もたっぷりだし!こんなに美味しい果実は、最初に食べたあの果実以来かも!

 一粒口の中で潰すと、じゅわっと甘い汁が口いっぱいに広がる。それからはゴキゲンで満足するまでガブガブと果物を食べ漁り、食べ終わると口の周りをペロペロして甘い汁を味わいつくした。

 ふう、満足!なんだか明日はいいことありそう!明日こそあの大木の元へ行くんだ!

 食べ終わると近くにあった藪の中に入り、そのまま眠りについたのだった。

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