もふもふになっちゃった私ののんびり生活
2 もふもふ幼女になれるようです
「キュウゥウーーーー……」
で、でっかい。私、この木の根っこのほんの先ほどもないんだけど……。
根元で木を見上げすぎてコロンと転がってもそのまま上を見上ていると、一番下の枝までさえも、ビルの三階くらいの高さはあるような気さえした。木のてっぺんなんて全く見えない。
寝ころんだまま周囲を見渡して比べてみたが、他の木はこの大木の半分にも達していなかった。
この大木は、森の中にぽっかりと空いた草原にある少し小高い丘にそびえ立っていて、丘を少し下った処に遠くから見えていた家があった。
この木、いわゆる世界樹、とか言わない、よね?
ただこの木が雄大で荘厳である程、元の世界で読んだファンタジー世界のお約束を思い出してしまう。
この木が世界樹なら、ここが魔の森とか死の森とか、そんな物騒な名称の広大な森の中で、この結界の中は安全でも、その外が強大な魔物しかいない森が延々と広がっているのだとしたら……。
それはさすがに予想外、ってもんですよ、神様ーーっ!!
あんまりにも茫然としていたら、くーっとお腹がなって気づくと、すっかり辺りが薄暗くなっていた。慌てて起き上がってキョロキョロと周囲を見渡すと、家の周囲を囲むように背の低い果樹が植えてあるのが目に入った。
こんな場所にあるあの家もかなり怪しいんだけど……。今晩は仕方ない、よね?明日はあの家も調べてみよう。
そろそろと果樹に近づき、実っていたラズベリーやブルーベリーに似ている果実を木から直接食べてみる。
おおっ!これも、あまーーいっ!もっと酸っぱいかと思ったのに!
夢中で食べている内に、いつの間にかそのまま寝てしまっていた。
果実の汁で口の周りがまだらに染まって大変なことになっていたのだが、それに気が付くのは翌日のことだった。