もふもふになっちゃった私ののんびり生活
とりあえずは朝ご飯!と、昨夜食べた甘い味を思い出してにんまりと笑い、目の前に実っている果実に齧り付く。
朝食べてもやっぱりとても甘くて美味しくて、また無我夢中で食べてしまった。
お腹いっぱいになると幸せになって眠たくなったが、さすがに今日は明るい内に家を確認しないと、とポコンと膨らんだお腹のまま、低木から這い出る。
とりあえず家を囲んでいる低木の果樹に沿って家の周りを一周してみたが、家は木造の二階建てで裏には倉庫もあり、崩れているような箇所は見当たらなかった。
家の前には花壇と日当たりのいい場所にベンチもあり、裏には畑用の用具入れまであったので、こんなにしっかりした家が街ではなくこんな森の中にあることに違和感があるが、設備的には今ここで生活している人がいても、何の不思議でもない。
でも、裏にあった畑はしばらく耕された感じもなかったし、花壇も中庭も雑草だらけだったので、以前住人が居たかどうかは不明だが今は住んでいる人はいないと感じた。
……ここが私の為に神様が用意してくれた場所だったなら、この家も私の為の家なのかもしれないよね?でももふもふな私にこんな立派な家はいらないから、やっぱり違うのかな?
恐る恐るどこかどろぼう気分でそろそろと家の玄関の前まで行ってみると、扉のすぐ前にも私の背丈より高い雑草が生い茂っていた。
この扉がしばらく開けられていないのは間違いなさそうだ。
やっとこの家に今住んでいる人はいないだろうと確信し、詰めていた息を吐き、今度は足取り軽く家の周囲を見て回った。
そうしてもう一度正面に戻り玄関の扉をしげしげと見ていると。
「キャンッ!キャンキャンッ!!」
茂っていた雑草で最初は気づかなかったが、扉の下には小さな扉があったのだ。そう、日本でも見た、犬猫が自由に出入りできるように設置された、押すと空くようになっている扉が。
びっくりしたぁ!ねえ、これってもしかして。神様が私の為に用意してくれた扉、なのかな……?