もふもふになっちゃった私ののんびり生活
 そしてシルビィーは魔法が得意な種族だけあって、火の属性以外には全ての属性の適正があるんだって!やったぁ!素晴らしい!

 とはいっても、この世界では動物や一部の魔物以外は、誰もがどんな魔法でも使える。ただ、向き、不向きはあって、その人の適正の有無が威力の差となって出るのだ。
 例えば火に適している魔力の人は、火を出そうとしただけで火炎放射になるけど、向いていない人はマッチの火くらいの火力しか出ない、というような感じだ。

 あと、魔法を使うのに別に呪文は必要なく、威力を揃えたり、最低限の出力のイメージに呪文や魔法名を言って使う方法もあるが、基本は定型の魔法はなく、無詠唱だ。

 うんうん、魔法はイメージ次第ってことだよね!まあ、魔法はイメージを魔力で発動しないとならないので、魔力を扱う技術は必要なのだが。

 つまり、魔法を使えるかは自分の中の魔力を自在に操作できるか、ということなのだ。

 うーん。人化する時に自分の中の魔力を最近は意識できているし、私ももう魔法を使えるのかな?よく血の流れと一緒に魔力が体中を巡っている、という設定を読んだけど、なんかそういう感じじゃないんだけどね。

 毎日精霊樹の元へと行くと、根に座り、背を幹につけて目を瞑ってそっと木に寄りそう。そうすると精霊樹から発せられている魔力と私の魔力が混じって、私が精霊樹と一体となって広がって行くような感覚を覚えるのだ。

 そうしていると自分の存在がなくなるようで怖いという気持ちも確かにあるが、それよりも自分が世界に溶け込む一体感から得られる安らぎの方が心地良かった。
 あの感覚を思い出すと、確かに私の体は血と肉とで作られているのに、身体全てが魔力で形作られているような気になるのだ。

 そうしてその感覚は当たっていた。本によると私のシルビィーという種族は分類的には魔獣だが、本質的には妖精とか精霊に近い種族だったのだ。

 獣人が獣姿に変化できるのはそう進化したからだが、魔獣が人化できるのは体がほぼ魔力で構成されているからだそうだ。
 魔力に人格が備わった存在が妖精や精霊だというから、肉体があると魔獣になるのは、まあ、不思議な生態だな、と納得するしかない。

 でも、なんとなくそうじゃないかと思ってはいたのだ。私は果実を食べていたけど、この家に着くまで水場もなく、一度も水を飲んでいなかった。それなのに喉が渇きを覚えたことは無かったのだ。最初の頃はそんなことに気遣う余裕も無かったけど、どう考えても無理がある。

 お腹は減るが、実はほとんど排泄もしていない。だからこの身体が必要としているのは、もしかしたら食べ物ではなく、それに含まれる魔力なのかもしれないと最近考えていたのだ。

 それに精霊樹にくっついていると、その空腹も感じなかったんだよね。

 まあ、考えてみれば私の体は神様が全部作ってくれたんだから、そう思えばなるほど!だよね。

 そうして本の続きを読んでいくと、私には親も群れもいない為、本には種族特有の魔法の使い方や森での行動の仕方など、細かいところまで網羅されていた。
 その訓練を始めるにはまだ小さいから、もう少し大きくなってからゆっくり訓練していくつもりだ。

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