もふもふになっちゃった私ののんびり生活
「身を守るには硬い殻が有効のように思いがちですが、相手から受けた力を方向を変えて柔らかく打ち返す弾力性があった方が破られる確率は限りなく低くなるのです」
ああ、そうだっ!?最初に結界を通り抜けてしまった時に、柔らかい幕があるように感じたんだった!
『な、なるほど!やってみるね!』
目を閉じて、あの時感じた暖かな柔らかい幕を思い浮かべながら体を包み込む結界をイメージして魔法を使う。
そうすると、ふんわりと魔力が広がり、少し行った場所で半円を描く。
「いいですよ。まだ強度は足りませんが、柔軟性がある結界になっています」
『やったぁ!』
パチンッ!
声を上げると同時に集中が乱れ、結界がはじけ飛んだ。
『あっ!!ううう……』
「気を抜いても維持できるように頑張りましょう。どんな時でも張れるようになれば、森の中でも休憩できるようになりますし丁度いいかもしれませんね」
あっ!た、確かに街へ行くにもかなり時間がかかるよね!
『ねえ、セフィー。結界の端から街の近くの森の外までどのくらいの距離があるの?』
「この結界の端から端までの七倍程でしょうか?でも、完璧に風を纏って走れるようになれば、森の外までは半日かからないと思いますよ」
な、七倍……。ここの結界が直径三十キロだとすると、二百キロ以上!!え?本当に無事に街へたどり着けるの、私。それに半日で二百キロも走れるもんなの?
この場所の結界は、街の方へ張り出している為、円ではなく楕円になっていて、街に近い結界の端までここから二十キロはあるのだが。
……うん。しっかりと修行をして結界も頑張ろう。森の中で野宿なんてことになったら目も当てられないから、完璧にマスターするまで街へ行くのは止めておこう。
まあ、精霊樹がある森なのだから、二百キロで森の外まで出れると思えばまだいい方かもしれない。
そう思うと少しは頑張ろう、という気持ちになれたのだった。