もふもふになっちゃった私ののんびり生活
セフィーとの真名を交わす儀式は、向かい合い、手を繋いで目を見交わし合ってお互いに真名を告げることだった。
「私の真名は、セー##ー&%ー*%です」
「私の真名は、ルーシュリィー。これからもどうぞよろしくね、セフィー」
その瞬間、手のひらから全身へ温かい、セフィーの魔力が駆け巡り、何かが繋がった気がした。
真名を交わした時、セフィーの真名は、私の耳には音として表現するならセーフィーレィーティと聞こえたが、精霊の言葉なのかハッキリとは聞き取れなかった。
まあ当然ながら繋がったからと言って私がセフィーの魔力をどうこう出来る訳ではなかったけど、やっぱり私だけが得をしている気がして後ろめたいんだよね……。
でも、セフィーの気持ちを受け取ると決めたのだから、例えこの場所からいつか出て行くことになっても、絶対にセフィーに恥じないように行動することをこの日心に誓った。
それから二週間後。ついに結界の外へ出てみる日になった。
魔物に遭遇しそうな時は、今回はすぐにセフィーが知らせてくれるので、すぐさまルートを変えて避けるかその場で結界を張る予定だ。
悪意を跳ね返す結界は、結界の表面の幕に光を取り入れ、光学迷彩のように周囲の景色を移して私の姿を相手から見えなくなるようにアレンジを加えた。
この結界を張りながらの移動は無理だったので、結界に閉じこもっても私の姿が見えていたら魔物が諦めずにずっと居座る可能性を考えて、光学迷彩の原理をセフィーに説明して二人で編み出したのだ。
これで私の安全度はかなり高まったと思う。
まあ、魔物を目の前にして動転して固まって動けなくなった!なんてなったらどうやっても無駄だけど……。
それはいくらなんでもセフィーに申し訳なさすぎるから、そうならないように今日からゆっくりと慣らして行く予定だ。
よし!と気合を入れて、獣姿に風を纏い、覚悟を決めて結界から一歩を踏み出す。
……まあ、一歩外へ出たところで風景が変わる訳ではないんだけどね。同じ森の中なのだし。
ただ暖かな結界の幕を通り抜ける時はセフィーの庇護下から外れるような心細さを感じた。
意を決して風を纏った足を一歩前出すと、そのまま駆け出した。
しっかりと訓練してセフィーには大丈夫だと言われたし、練習の時と同じようにしているのに、気配が漏れていないか、匂いが漏れていないか、とそういうことばかりが気になり、つい足が止まりそうになる。
そうして距離的には二キロくらい走った時、頭にセフィーからの警告が入った。
『ルリィ。そこから左前方に魔物が居ます。まだ気づかれてはいませんが、ルートを変更するか引き返すかして下さい』
っ!!魔物っ!?