もふもふになっちゃった私ののんびり生活
まあ、さっき散々キャンキャン騒いで寝落ちまでしていたのにこうして無事だったので、ここはもしかしたら安全な場所、もしくは外敵が少ない場所なのかもしれない。それに森の中だと思ったけど、子犬からしたらほんの雑木林だって森だろうし。
親も居ないみたいだし、そうでなかったらすぐに人生終了だ。さすがにそこは神様もわざわざ転生させた訳だし、考えてくれているよね?
またクウとなったお腹にせかされ、恐る恐る立ち上がって一歩を踏み出すと。
コテンッ。
見事にまた転んだ。もう一度立ち上がってふるふる震える前脚を一歩前に出すと。
コロンッ。
今度は前に一回転して転がった。
これはなんて無理ゲー……。歩けないって、どういうことっ!?
まあ、考えてもみて欲しい。ついこの間、というかさっきまで三十歳のOLだった私だ。それなのに今は推測全長二十センチくらいの四つ足の犬なのだ。
因みに自分で見られる範囲だと、私の外見は毛色は白っぽい灰色で、尻尾はふさふさしていて犬のようだけど猫のように長い。そして肉球はピンクだ。
耳の大きさは分からないがピクピク動かせるが、尻尾は気づくと動いていた。
で、どうやって歩いたらいいのっ!!ちょっと、待って。獣って本能で歩けるものでしょっ!!
いやいやいや。そう、そうだ。本能よ。親から生まれたかどうかはなんだか怪しい気がするけど、この身体が四つ足なら獣の本能に身を任せるのよっ!
考えない。何も考えない……。
そう念じながら前脚を一歩踏み出したが、やはり転がっていた。
ふう、と子犬から出るにはかなり重いため息を吐くと、ヨロヨロと起き上がって身体の感覚を馴染ませるように、クークーなるお腹を抱えながら何度も転がりながら歩く練習を開始したのだった。