もふもふになっちゃった私ののんびり生活

「そうだ、収穫祭の当日はどうするの?」
「私はルリィちゃんと見て回ろうってさっき言っていたの。ね、ルリィちゃん」
「うん!私、初めてだから楽しみなの」
「じゃあ、私も時間があえば一緒してもいい?」
「勿論だよ。ね、ルリィちゃん」
「皆で回った方が楽しいよね!」

 時間が会えば他の子も一緒に回ろうか、と盛り上がりつつ大通りを戻って歩いていると、あっという間にカミラちゃんの家との分かれ道に着いた。

「じゃあ、またね!」
「「またね!!」」

 お互いに手を振って別れてそこからアイリちゃんと二人で話しながら戻り、五日後に収穫祭の打ち合わせをしようと約束して別れると、薬屋へと戻った。

「ただいま戻りました!」
「おかえり。もう店はいいから、食事の支度をしてくれるかい?」
「はい!じゃあ、台所にいますね!」

 暗くなるとこの店は閉めるので、もう少ししたら店じまいだ。
 そのまま裏口へ周りながらヴィクトルさんに話し掛ける。

「ヴィクトルさん、今日も護衛をありがとうございました。明日は多分、店から出ないと思うので……」
「……やっぱりいつも後ろをついて行くのは迷惑か?でも、迷惑でも君と少しでも一緒にいたいんだ」

 この約一年で、何度も何度も繰り返し言われた言葉。
 ヴィクトルさんは、最初こそあんな出会いだったから私も積極的に打ち解けようとはしなかったが、街の往復の毎に魔獣のことや色んな国や街のことをたくさん聞いた。
 それに最近では、森の端の弱い魔物を倒して解体する訓練にも付き合ってくれている。

 ヴィクトルさんは最初は番、番と言っていたけど、望むのは私と一緒にいることだけで気づくと私がヴィクトルさんにして貰うことの方が多くなっている。

 それでも今でも番のことは全く分からないし、別にほだされてもいないので私に恋愛感情もないから、なんだか不思議な関係なんだよね。

「……おばあさんが店じまいして戻るまで、台所に一緒にいますか?味見くらいなら、してもらってもいいですよ」
「いいのか?じゃあ、そうさせてもらおう」

 本当はセフィーに餌付けしたらダメですよ!って言われているけど、私の料理は餌付けできる程の物でもないと思うんだよね。だからセフィー、味見だけだって!

 不機嫌そうに揺れるネックレスを胸に、さて、今晩は何を作ろうか、と思いつつヴィクトルさんと並んで裏口の扉から家へと入ったのだった。


< 83 / 124 >

この作品をシェア

pagetop